アメリカとヨーロッパの個人借金の近況とは?
米国とヨーロッパでは、住宅ローンを除く消費者債務が近年増加しています。
米国では、2024年初頭に家庭全体の債務が17.69兆ドルに達しており、クレジットカード債務が1.15兆ドルを超えています。
クレジットカードや自動車ローンの延滞率も上昇しており、特に若年層で財政的な負担が増しています。
参考:Federal Reserve Bank of New York
ヨーロッパでは、生活費の上昇やインフレ、利上げが消費者債務に影響を与えています。特に南ヨーロッパ諸国では、インフレとエネルギーコストの上昇により借入が増加している一方、北ヨーロッパでは比較的安定した債務管理が行われています。
利上げにより、これらの債務を返済することがさらに難しくなり、延滞リスクも高まっています。
どちらの地域でも、生活費の上昇が債務管理の課題となっています。
海外では個人融資はどうなっているのか?
日本以外の国では個人への融資、貸出はどうなっているのでしょうか。
日本同様、個人としての借り入れは需要があり、貸出は行われています。
海外では消費者金融、キャッシングやカードローンの概念がない
例えば、アメリカでは住宅取得のためサブプライムローンで一時期話題となった低所得者への融資もあるように住宅ローンとしては日本と同じように住宅取得目的としてお金の貸出は行われています。
ヨーロッパにおいても住宅等への融資は日本と同様にローン商品が存在します。
しかし、消費生活のためにお金の貸出が行われるような日本のカードローンのようなものは日本以外の国ではほとんど存在しません。
所謂生活のため、消費財のためにお金を貸している消費者金融のような専門組織はありません。
ヨーロッパにおいてはお金を貸してくれるのは銀行のみと捉えられています。
ですので、日本の消費者金融と銀行とで何が違うの?と疑問に思うことでしょう。
もちろん、日本国内でも消費者金融と銀行で何が違うのか不明瞭なところがありますが、基本的には銀行しかないという認識です。
また、アメリカも含めお金を借りるというのは住宅ローンのような大きな買い物をするときだけで基本的にはカードローンというよりクレジットカード払いをするのが一般的です。
日本でもクレジットカードで買い物をするときお金を借りるという認識は薄いでしょう。
それと同じで買い物をするとき手持ちの現金がない、でもどうしても今必要という場合はクレジットカードでの支払を行います。
元々日本よりクレジットカード払いの習慣が根付いているのもありますし、クレジットカード利用のインフラが整っていたというのもあるでしょう。
現金が必要なときはどうするのか?
では現金が必要となったときはどうでしょうか。海外の国の人は銀行でお金を借ります。消費財、生活費という名目で借りることができます。
日本と大きく異なるのは、銀行のみが貸してくれる機関であるということと、金利です。
海外、例えばヨーロッパでは銀行から借りる場合、銀行のカードローンとは異なり金利は数%です。
日本のように15%、20%となるようなことはありません。
ですので、基本的にはクレジットカードでツケをまわす、後払いを行いますが、現金が必要な場合は銀行から低い金利で借りることが可能です。
日本と大きく異なる貸金事情
以上のように海外と日本とでは貸金の概念が異なります。
ある意味で日本は貸金ビジネスが高度化しているとも言えますし、海外と比べてもかなり高金利なので異常であるとも考えることができます。
ですので、日本以外の国の人から見るとなんでこんなに高い金利を払う必要があるのか、また、高金利でも何故こんなに多く人がお金を借りるのかと不思議がられると思います。
元々日本では戦後お金が無い状態からスタートし、様々な国の制度でお金を借りることができました。
それが生活のために必要でした。それが日本人として普通の感覚になって気軽にお金を借りられるという業態ができたと考えられます。
中国の個人融資の原状は?
中国では、個人向け融資やカードローンのような借り入れが、経済状況の変化とともに注目されています。近年、中国人民銀行のデータによれば、全体の融資需要は低調で、個人向け短期借入金も減少傾向にあります。これは、デフレ傾向や実質金利の高止まりが影響し、多くの個人が既存債務の返済を優先しているためです。
参考:Bloomberg Japan
参考:NLI Research
個人融資市場では、アプリを通じたオンラインローンの利用が広がり、迅速な審査や少額融資が可能になっています。一方で、規制強化により、金利や手数料の透明性が求められています。政府は、過剰な借り入れや債務問題の拡大を防ぐため、貸付上限の設定や監視を強化しており、貸し手側の基準も厳格化されています。
全体として、個人融資やカードローンは利便性がある一方で、融資コストや返済能力を慎重に検討することが重要です。また、経済政策の影響や市場の変動も、今後の融資環境に大きな影響を与えると予測されています
まとめ
現在、日本の銀行は大手消費者金融と資本提携をして貸金ビジネスを加速化させていますが、海外でも融資事業を行おうとしている動きもあります。
海外に拠点を作って日本と同じように手軽にATMなどで借りられるようなインフラづくりも考えられています。今後の動きに注目したいと思います。
参考:お金を借りる(金融庁)